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「やるときはやる」という話
やるときはやるタイプの逆は、真面目にコツコツではなく、ずっとやるだと思う。
やるときはやるタイプは時々120%で頑張る。ずっとやるタイプは常に80%以上を保っている。
真面目にコツコツは常に60%ぐらいなのだろうか?
若い時は皆毎日100%以上で頑張ってきたがそうは続かない。私は若い時は真面目にコツコツだった。それがやきものの世界に入ってから、何故かやるときはやるタイプになってしまった。何か月も土を触らない時もある。一か月ずっと轆轤の前で考えている時もある。しかし、手は動いてないが頭の中はフル回転している。
ある料理の巨匠にお伴して、何度かさらなる巨匠の料理を勉強しに行ったことがある。我々作り手は一般のお客様と違い、料理屋さんに行く際には味や盛り付けや設えの良し悪しを見に行くだけでなく、料理人の所作をみることも勉強である。
巨匠の教えは、「立ち姿をよく見とけよ」と。「あれが何十年も日本一であり続けているひとの姿である。何十年もずっと毎日80%のちからを維持されている」と。
巨匠が巨匠に鮨を握ったあと、さっとつけばから降りられ、入口の待合で新聞を読まれる。いつもである。
そこには私には見えない両者の火花のやりとりの緊張が確かにある。が、微塵も見せない闘いだ。
一秒も見逃すことなく追っているが、一瞬も無駄な動きがない。異様に仕事が速いが速さを感じさせない。
流れるような動き。付き人の動きが忙しなく見えてしまう。
そんな流れるような動きに憧れ、轆轤でも真似てはみたがとてもしんどい。長時間は続かない、息が詰まる。
やる時にしかやらないタイプではその領域には一生たどり着けないだろう。
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