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料理人も、骨董屋もやきものを作ることは素人 作ることにプロにならんかったら対等に話が出来ん。

とあるやきもの好きの料理人から言われた言葉である。
若いころはやきものを扱ういろんな職種の方からいろんなことを言われた。
こんな器に盛り付けできない。こんなお茶碗ではお茶が点てられない。もう少し古い物を勉強したら。
安物を百見ても何にも上達せんで。こんな器の足なら塗りのテーブル傷だらけになるがな。お金貯めてでも美味しいもん喰いに行かな、等々。同じことを当たり前によく耳にした。

その当時は理解できなかっただけでなく反発もあったが、年齢を重ねるにつれ理解できるようになってきた。それは技術が上達し、知識の蓄積がそう変化させたのであり、若い人に頭ごなしに言うのはどうかなと思っていたが、近ごろ私も同じことを言っていたりする。反省である。
年齢を重ね同じことを繰り返しているのだが、あの時本気で言ってくれていた方と、薄い知識で誰かの受売りで言っていた方との違いが見えてきた。

料理人としての器の知識、骨董屋さんとしての眼識、作り手としての身につけた技術が、お互い高い次元で認め合えてこそ対等に話ができ、さらに高みを目指せる。そんな経験談とよく似た話を同年代の料理人、骨董屋さん、茶人から聞くことがあった。また、役者や大工さんからも納得できる話を聞く機会があった。
巷でプロとはと聞く番組があるが、その経験の積み重ねが更なるプロ同士の会話になっていくのだろうと思った。それからは、若い方に当たり前に当たり前のことを言わないよう心掛けている。言うときはいつも本気である。

料理人も、骨董屋もやきものを作ることは素人 作ることにプロにならんかったら対等に話が出来ん。

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